折立~黒部五郎岳~雲の平~鷲羽岳~三俣蓮華岳~双六岳
北岳のツアーを終えそのまま新宿へ。
都会の蒸し暑さには驚く。
山と都心は正反対の場所。普段お客様が、ちょっとした自然に歓喜感動するのが分かる気がするな。
大都会の喧騒の中を颯爽と歩く人々。
ちょっとだけサラリーマン時代を思い出す。
企業の歯車が悪いわけじゃないけど、独立して好きなことをやれている今の自分は幸せである。
新宿で洗練されたラーメン屋で腹ごしらえし、蒲田のホテルにチェックインした。
夜中、ようやく空いたコインランドリーで、汚れた山ウエアを投入する。
ん?洗濯終了時刻4時半?
全自動のホテルのコインランドリーって4時間も掛かるのか(汗)
ギリギリセーフで良かったけど、次回同じシチュエーションの時は少し考えないとな。
何事も経験、勉強である。
朝、羽田に向かい、国内線のターミナルに着くと、ボクにとっても夏のビックイベントである4泊5日の旅がいよいよ始まるんだと実感した。
フライトし、僅か1時間で富山の空港へ。
バスに乗換え、車窓からは怪しく曇った北アルプスが目に映った。
添乗員の慣れた上手な挨拶のあと、ボクも簡単に挨拶をした。
お客様は、ボクよりも登山歴の長い登山上級クラスのベテランばかり。
人生の大先輩方を前にし、この長く壮大な5日間を無事に案内することを心に誓った。
折立から入山し、初日の宿泊場所である太郎平小屋を目指す。
富山湾から能登半島を望む景色を背にして歩いた。
無事に小屋到着。
皆、初日の疲れをビールで労い、楽しい山談義で盛り上がっていた。
ボクは早々に就寝。
山では自分でも驚くほどよく食べ、よく寝る。
10時間は余裕で寝る。
この、よく食べよく寝るは自分の特技なのかも・・・
体力を回復させるのも大切な仕事である。
もちろん、2日目からは労いのビールを欠かすことはなかった・・・(笑)
翌日の2日目は、雨と強風の厳しい縦走路となった。
個人山行の場合、悪天候だと気軽に停滞したり、ハイピッチで歩き、時間のリスクを減らせるけど、ツアーは、少々のことでは予定を変えることはできない。
もちろん、安全は絶対で、その判断に躊躇は無いけど、厳しい条件の中、集団でゆっくり歩くことは大変なことだと思う。
夏の低体温症の危険が常に頭の中にある。
まあ、そこまで大した悪天候ではないのだけれども、もし怪我や体調不良などのトラブルが起きたら、命に関わる状況だ。
一度体温が下がったら、急激に症状が悪化し、僅かな時間で命を落とすのが夏の低体温症の怖さである。
ガスで視界の悪い状況に一般登山者も不安だったのだろう。ツアーの隊列の後をずっと着いてきている者も何名かいた。
風の当たらない場所で短い休憩をとりながら、無事に黒部五郎岳に登頂し、カールを下り黒部五郎小舎に着いた。
3日目、天候は同じく雨とガスと風。
世界的に見ても風が強く吹くい云われる北アルプス。その中でも最も風の影響を受けるのが水晶岳の辺り。
予定していた鷲羽岳を回避し、地形的に風の弱い黒部源流ルートに変更して雲の平に向かった。
オシャレな造りの雲の平山荘でゆったりと時間を過ごし、翌日の天候に期待して眠りについた。
4日目、天候回復の予報が的中し、美しい雲の平の木道を記念撮影しながら歩いた。
前日に登れなかった鷲羽岳にも登頂でき、今回のツアーの行程である日本百名山の2座を無事にクリアして、ほっと一息。
連日、悪天候だったためか、青い空がより一層輝いて見えた。
三俣蓮華岳から双六岳を抜け、予定通り双六小屋に到着。
昼前から天候が崩れる予報で、ボク自身もそう読んでいた。
だが、天気はもった。山では予想を裏切り天候が崩れることが多いけど、嬉しい誤算。
ずっと悪天候の中を頑張って歩いたご褒美が待っていたのだ。
最終日を控え、ビールの味もより一層美味しく感じられた。
一番事故が多いのが下山日と云われているけど、正直ここまで無事に来れたという安堵感が心地よく感じられた。
そして最終日、集中を切らさずに無事に下山。
温泉で5日間の汗を流した。
お客様の優しい気遣いと心遣いに助けられた5日間。
登山上級者は、その人格までも上級者ということか。
優しい人生の大先輩達に支えられた5日間でした。
ありがとうございます!
チングルマ |
太郎平小屋 |
黒部五郎小舎 |
雪渓は全てツボ足で通過しました。 |
三俣山荘 |
雲の平 |
雲の平山荘 |
ハクサンイチゲ |
バックに薬師岳 |
祖父岳 |
チシマギキョウとタカネツメクサ |
ライチョウ |
ミヤマクワガタ |
ワリモ岳 |
タカネシオガマ |
鷲羽岳 |
鷲羽池 |
鷲羽岳を望む |
三俣蓮華岳 |
三俣蓮華から水晶岳、鷲羽岳を望む |
双六岳 |
双六小屋 |
弓折岳 |
鏡平山荘 |