天候が不安定だったが西穂山荘は満員御礼の状態。皆、翌日からのアタックをどうするか思案していることだろう。丸山か独標までの行程に予定変更したパーティーも多かったに違いない。メンバーの経験値や体力、パーティー人数などを考慮し、それぞれが判断し決断する。ボクは山荘までの1時間の行程でメンバーの体力、バランス感覚、行動の機敏さを見て、少々の悪天候でもイケると感じていた。皆、濡れた岩場の通過を心配していたが、ボク自身はそのことよりも注意すべきは低体温症だと思っていた。岩場の通過は適切なアドバイスと慎重な三点支持を行えば問題ない。ただ、低体温症が進行してしまえば、意図も簡単に行動不能に陥ってしまう。熱い飲み物を準備し、行動中はカロリー摂取を怠らない。そしてレインウエアの下には重ね着で濡れと冷えを防止する。このことが適切に行えていたから暴風雨の稜線上でも不安は感じなかった。皆、落着いていた。しかし、今回の雨と風とガスによる視界不良、これに後もう一つ低温が加わったならば山頂は難しかっただろう。厳しい条件をひとつずつ冷静にクリアし、暴風雨の西穂山頂を見事に踏破した素晴らしい7人の精鋭でした!